ブラジルにつながってる穴を作る

ブラジルにつながってる穴を作った。

漫画などでよく、地面に穴を掘り進めていくと地球の裏側のブラジルに辿りついてしまうという表現がある。それになぜか惹かれていた。もしかすると、日常の世界と未知の世界の唐突な出会いに惹かれていたのかもしれない。そういうわけで、「ブラジルにつながってる穴」を作ることにした。

ベニヤ板と芝生を除いて、プログラマの高田さんの会社の倉庫に置いてあったものを利用させてもらった。デジタルサイネージやイベントを行う会社なので、倉庫にはディスプレイやプロジェクターが無限個ある。一番凄いのは高田さんの会社である

「ブラジルにつながってる穴」は、半球スクリーンに4台のプロジェクターを組み合わせて360度映像を投影する、広義のバーチャルリアリティ装置である。もちろんブラジル以外のどこにでもつなぐことができるが、目標はブラジルなのであくまで「ブラジルにつながってる穴」だ。これを体験するためにユーザーは穴の前にひざまずき、頭を穴に突っ込まなければならない。

手始めにカーニバルの360度動画を投影して穴に頭を突っ込んでみたところ、突然地面からブラジルに飛び出してしまったような臨場感を得られた。一方でこの姿勢は頭に血が上るので、30秒程度が限界だということ、そしてこの装置を体験している様子は、他のVR装置と比較して非常に滑稽なものとなることがわかった。

芝生のない状態。写真には写らないが苦悶の表情を浮かべている

中の様子がどうなっているか、動画でまとめた。

今後はブラジルに受像器と360度カメラを設置してリアルタイム360度映像を投影し、装置を小型化して実際に地面を埋め、常時ブラジルにつながっている穴として街中に設置することが目標である。

東信伍 (コンセプト、デザイン、装置製作、文責)
高田徹 (プログラミング、装置製作)
時田浩司 (装置製作)
機材・展示協力: 株式会社レイ