輪ゴム鉄砲の威力を爆発的に上げる装置『スパコーン』を作った

ゴム銃の工作に打ち込んだ小学生時代の自分のために、ゴム銃の衝撃を爆発的に上げて物を軽々とふっとばす威力を与えるおもちゃ『スパコーン』を開発したところ、多くの賞を受賞した。

昔からゴム銃のことが好きでした

ゴム銃(輪ゴム鉄砲のこと)は結構小さい頃から好きだった。
自分で作れてしかもちゃんと機能するっていう事がたまらなくて、他にはペットボトルロケットとかも好きだったけど、作り方次第で性能がどんどん良くなっていくのが本当に面白い。
今なら工作に使える手段は色々あるけど、小さい頃は段ボールとか割り箸とかの世界なので、その中で機能性のあるおもちゃを作る数少ない方法だったように思う。

2000年ごろ、インターネットというものが家に開通して狭い画面で見た中で驚いたのが「日本ゴム銃射撃協会」というサイトの存在だった。工作がめっちゃできるおじさんたちが本気でゴム銃を作っている団体で、複雑な機構で数十発も連射できるものもあれば工芸品の域に達している漆塗りのゴム銃もあり、世界の広さを思い知らされた。
そのときから、連射式のゴム銃をひたすら作るようになった。

左のゴム銃は12歳の誕生日に材料をねだって作ったもの。2mmの真鍮棒や0.5mm厚のアルミ板を使っていて、初めての金属素材にわくわくしたのを覚えている。
右の写真は一見普通の割り箸ゴム銃を連射式にしているところ。

でもゴム銃って弱いよね

しかしどんなに頑張って作っても飛んでいくのは輪ゴム。並べたマトに当たっても全然倒れなかったりして面白くない。

そこで思いついたのが、ゴム銃ではなくむしろマトの方に装置をつけて吹っ飛ばしてしまえばいいというアイデアだった。十数年後のことである。

スパコーン爆誕

というわけで作りました。

シンプルにしました
このために基盤の作り方を勉強しました

ざっくり説明すると、ソレノイドというのはモーターと似ているがちょっと違う部品で、数ミリしか動かないけど瞬間的に強い力で動かせる(引き込む)装置だ。
しかし大電流が必要なので、それに合わせて大量のコンデンサーで電荷を貯めている。小型のバッテリーの弱い電気でも、集めておけば結構力が出せるのだ。
センサーは天板の揺れを検出するもの、マイコンはそれら全部を指揮する役割になっている。

使い方

上にマトを乗せて、
スイッチオン! チャージで「チュイーーン」って鳴ります
輪ゴム弾射撃! スパコーン!


もっと吹っ飛ばしてる動画はこちらです。

スパコーン!!

マトを乗せて、ボタンを押して、あとは撃つだけ!
手癖のように遊べることを第一の目標にした。

実は触ったり揺らしたりしても飛んでしまうのだが、新たな使い方を発見する余白でもある。
例えば発射台として使ったりラジコンと組み合わせたりして、別の遊び方を発明しちゃったら、もう遊びそのものより楽しいはずだ。

ヒーローズ・リーグで受賞!

思い切っていくつかのアワードに応募してみた。
最初に賞が出たのがヒーローズ・リーグというアワード。全国からモノづくりが好きな人が集まってプレゼン合戦するんですが、大会の規模も大きいので普通に見てるだけでも面白い。
Zoom参加ではどうやって面白さを伝えるか悩んで、Webカメラ越しに「スパコーン!」の効果音を流せるように準備して実演したらちょっとウケてたみたいなのでよかった。

ヒーローズ・リーグ オンライン2020 PROTOTYPE.FM賞 by PROTOTYPE.FM
ヒーローズ・リーグ オンライン2020 わーかーさっ賞 by 若狭企画
応募用に作った技術的な解説

ちなみに、現場で実演するために効果音だけが出せるサイトを作った。
真ん中へんをクリックすると スパコーン! って言ってロゴが出る。ドメインの無駄遣いかもしれない。
http://spakorn.com/

ソレノイドコンテストでも受賞!

次に賞を頂いたのは、タカハ機工というソレノイド自体を作っている会社のコンテストだった。
実はこのコンテストは以前から応募してみたかったこともあり、同社のソレノイドを使用した設計にしていたのだ。
第8回ソレノイドコンテスト 大賞

社長のコメント、中身をちゃんと見てくれていて嬉しい

いきなり社長と書いてあるとタカハ機工の社長のようだが、『オタマトーン』やナンセンス・マシーンで有名なアートユニット明和電機の社長だ。タカハ機工は、実は明和電機の社長と繋がりがあり審査員が明和電機の社長だったりする。
もともと明和電機では楽器を作るためによくソレノイドを使っていて、作品を観察するといたるところにくっついている。
そんなソレノイド師匠に作品の細かい工夫までよく見てもらえたことは嬉しかった。

量産したい

こうなるともっとたくさん作りたくなってくるし、よく人からも量産しないの? と聞かれる。
でも調べれば調べるほど量産のハードルが高く手に負えないので、力になってくれるパートナーを探してる状況だ。
我こそはという方はいたら、ぜひご連絡いただきたいです。

制作 tettou771
編集 東信伍
映像編集・サウンドロゴ オオタニカズヤ
ロゴ 友田萌衣